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アクロイド殺害事件  アガサ・クリスティ作

クイーンの「Yの悲劇」のように、パズル・ミステリにおいてトリックが奇抜だったり犯人が意外だったりする場合、もう一度読み返したくなる。その中でも極めつけのミステリはこれ。このおもしろさは映画やテレビでは難しい、小説特有のものである。
 イギリスの田舎、キングズ・アボット村で裕福な地主のアクロイドが鍵のかかっている書斎で殺されているのが発見される。探偵役のポアロは、ベルギーの元刑事で、引退した私立探偵。この村で自適な生活を送っているが、事件の関係者である姪の依頼で、事件の捜査を始める。アクロイドの家族の者や友人、使用人たちのアリバイが調べられて……最後に、ポアロは容疑者全員を集めて、トリックを見破り真犯人を明らかにする。
 この事件が終わって半世紀以上を過ぎてから、事件を徹底的に研究した論文「アクロイドを殺したのはだれか」(ピエール・バイヤール著)が発表された。それを読むと、驚くべき真相と思ってもいなかった真犯人が告げられる。しかも、それが作者アガサ・クリスティより(そして探偵ポアロより)も説得的で、もっともらしいのである。そうすると、さらにもう一度読み返したくなる。

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Yの悲劇  エラリイ・クイーン作

エラリイ・クイーンのミステリには、国名シリーズと並んで有名な、バーナビイ・ロスという別のペンネームで書いたドルリー・レイン四部作がある。「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」「ドルリー・レイン最後の事件」の四作品である。前二者の評価は高いが、実は四冊全体を通して大きな仕掛けがほどこされている。
 「Xの悲劇」「Yの悲劇」どちらもおもしろいが、最後のあっという犯人の意外性では「Y」のほうが優れている。
 探偵役のレインは、引退したシェイクスピア劇の俳優で、聾者だが読唇術ができて会話には不自由しないという設定である。
 富豪のエミリー老夫人が屋敷の寝室においてマンドリンで殴打されて殺されるという事件が起きる。犯行現場には、老夫人が溺愛していた娘のルイザいた。ルイザは悪性遺伝のため盲目で聾唖の女性で、点字盤を使ってレインの質問に答える。彼女は犯人に触れてにおいをかいでいた。犯人はほおがすべすべしていて、ヴァニラのにおいがしていたというのだ。
 このシーンでは思わず背筋が寒くなり、これはいったいどういうことなんだと無気味な想像をたくましくしてしまう。

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オランダ靴の謎  エラリイ・クイーン作

 ヴァン・ダインとくれば、エラリイ・クイーンを取り上げないわけにはいかない。ダインのパズル・ミステリをさらに推し進めて究極の形にしたのが、クイーンの「読者への挑戦状」付きのミステリ、国名シリーズである。国名シリーズは10作あり、この中で特に評価の高いのが「オランダ靴の謎」「ギリシャ棺の謎」「エジプト十字架の謎」である。
 「クイーンのこれはまだ読んでいなかったな」などと何年かおきに、思い出した時に読むというふうに国名シリーズと付き合ってきた。探偵役のクイーンという主人公も、犯人役の悪人像も、犯罪の不思議さ・不気味さも、論理的で精緻な推理に圧倒されて影が薄くなってしまい、どうも頭に残っていない。謎解き第一で、物語のおもしろさは二の次になっている。そこがやや残念である。その中で一番印象に残っているのが本書である。
 オランダ記念病院で大富豪のドーン老夫人が殺される。針金で首を絞められている夫人が手術台の上で発見される。手術室の控え室にいた時に犯行があったと思われる。足の不自由な外科医を真似た偽ものと思われる犯人が控え室に入ってきての犯行らしい。その控え室には看護婦も付き添っていたのに。この大胆不敵な犯行に対してクイーンの推理が切れ味鋭く冴えまくる。

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