忍者ブログ

ポイントがつくから断然お得!家電買うなら楽天市場

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ジャッカルの日  フレデリック・フォーサイス作

 少し話は古くなるが、四十年ほど前に世界的ベストセラーとなったもので、事実と虚構を織りまぜてつくりドキュメンタリー・スリラーといわれた小説はこれ。もちろん、今読んでもおもしろい。この小説をもとにしてつくられた映画もすばらしい出来栄えだった。
 フランスのドゴール大統領の暗殺を依頼された殺し屋(暗号名ジャッカル)は着々と準備を進め、計画を実行に移していく。それに対して、殺し屋を追うフランスの司法警察のルベル警視は、いろいろな手を打って着実に追い詰めていく。暗殺者ジャッカルとルベル警視の対決の日が近づき、いよいよ決着の時がくる。
 ジャーナリスティックな感覚、広範に徹底した取材、追う者と追われた者とを交互に描きサスペンスを盛り上げる手法、行動や事件をスピーディに展開させる叙述など、読者をハラハラドキドキさせて物語に引き込み、一気に読ませてしまう。
 一作目の本書に続き、二作目のナチスの救援組織を題材にした「オデッサ・ファイル」、三作目のアフリカにおける傭兵のクーデターを扱った「戦争の犬たち」もベストセラーになり、フレデリック・フォーサイスの作家的地位を確かなものにした。

拍手[1回]

PR

ミレニアム  スティーグ・ラーソン作

 近年世界的にヒットし、日本でも高く評価されたスウェーデンのミステリはこれ。全三部作で、第一部が「ドラゴン・タトゥーの女」、第二部が「火と戯れる女」、第三部が「眠れる女と狂卓の騎士」という副題がついている。それぞれ、謎解き小説、犯罪小説、法廷小説としても楽しめるという。
 第一部を読んでみると、密室状態の小島から大実業家一族の孫娘が失踪するという事件が過去に起こっている。その調査にジャーナリストの主人公が依頼される。それを助けるのがもう一人の主人公、女性調査員である。調査が徐々に進み、ススリリングな展開を含みながら、謎解きが図られる。やがて、驚愕すべき真相と恐るべき犯人が明らかになり、劇的な結末を迎える。
 謎解き小説としてもそれなりにおもしろいが、しかし、この小説は何と言っても女主人公リスベット・サランデルの魅力に負っている。加えて、もう一人の主人公ミカエル・ブルムクヴィストとの組み合わせの妙である。
 リスベットは、コンピュータを駆使する、型破りで有能な二十歳台の調査員である。しかし、態度は反抗的で非社会的、ドラゴンの入れ墨を入れたり鼻にピアスをつけたりなど奇抜な格好をしている。かって、精神病等の判定を受け後見人の監視下にある。一方、ミカエルは、正義感の強いジャーナリストで、美しくセクシーな四十歳台の男性である。訳者の解説をみると、リスベットは、やさしくて力持ち、自由奔放で奇想天外な「長くつ下のピッピ」の現代大人版であるし、ミカエルは、優等生タイプで人好きのする「名探偵カッレくん」の大人版であるようだ。この二人が簡単に結ばれるわけはなく、二人の関係がどうなるのかも物語の興味になっている。
 第二部、第三部と話が進むと、リスベットの過去が明らかになり、リスベットにまつわる犯罪の全貌が姿を現す。呪われた運命の下に生まれたヒロインは、ハンディキャッップのあるスーパーギャルに変身し、絶望的な状況においても抵抗と反撃をつらぬき、破壊と再生を果たす。第四部、第五部の構想があったらしいが、作者の急逝により永遠に失われたのは残念である。

拍手[4回]

笑う警官  マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー共作

 多くの個性的な警官たちが多種多様な犯罪や事件に取り組むという警察小説の利点を生かして、一年一冊の物語を十年十冊の物語につないで、警察大河小説ともいえるものに創り上げたのが、スウェーデンの作家マイ・シューヴァルとペール・ヴァールー共作によるマルティン・ベックシリーズである。
 その時その時の犯罪やその社会背景を描くことにより、その時代の推移や社会の変化を写し取ろうという壮大な試みは、福祉国家の光と影、スウェーデン社会の歪みと陰りを描き出している。
 シリーズ全10巻の中で評価の高いのが第4作のこれ。真夜中のストックホルム郊外で、2階バスの中にいた大勢の乗客が射殺されるという事件が起きる。軽機関銃で皆殺しにされたらしいのだ。誰が何のためにやったのか。警察は被害者の身元確認から捜査を始める。8人の射殺体の中にベック主任警視の部下であるステンストルム刑事が混じっていた……
 もし本作を読んで気に入ったら、第1作の「ロゼアンナ」から順に読んでいってほしい。第10作の「テロリスト」を読み終えるころには、ユニークで個性的な警官たちの生き方とともに、スウェーデン社会の10年史が彷彿と浮かんでくるにちがいない。

拍手[2回]

お探し物がありましたら、こちらからどうぞ