第二次世界大戦末期を背景に、連合軍のノルマンディ上陸作戦をキャッチしたドイツのスパイ・暗号名「針」の暗躍と最期を描いたスパイ小説はこれ。
歴史学者ゴドリマンとロンドン警視庁のブロックスは、英国情報部MI5所属で、ドイツスパイ狩りのコンビを組んだ。捜査が進むにつれて「針」というスパイの存在が浮かび上がる。情報部の追及の手は「針」に迫っていくが、今一歩のところで逃げられてしまう。
その「針」は漁船を盗んでUボートとの接触地点へ急ぐが、途中嵐に遭って北海の孤島に漂着する。そこに待っていた運命は、かよわい女性との仮初の恋と壮絶な死闘だった‥‥
この作品は賞をもらい、ベストセラーになった。イギリスのスパイ小説史(モーム、アンブラー、フレミング、ル・カレ、デイトン、フォーサイス)の後を引き継ぐ作家として評価されている。
[2回]
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ナチの残党が起こした秘密結社フェニックスを探るべくベルリンの街を行く英国情報局員の頭脳戦を描くスパイ小説はこれ。
主人公クィラーは英国情報局員で、ベルリンにおけるナチスに関する情報通である。彼には、元親衛隊の隊長ツォッセンに対する二十年来の怨念があった。そのツォッセンが今ベルリンに戻ってきているというのである。その宿敵を倒すため、敵の作戦に乗り、敵の罠に飛び込んでいく。果たして、謎めいたドイツ娘がクィラーの前に現れる‥‥
敵方に囚われの身になったクィラーは、フェニックスの隊長との頭脳的、心理的な戦いを繰り広げる。息もつかせず手に汗握る場面が延々と続く。
[9回]
国家公務員として英国情報部に勤務するサラリーマンを主人公に据え、官僚組織内における個人の生き方を追求したスパイ小説はこれ。
英国情報部のチャーリー・マフィンは、風采の上がらない中年男であるが、仕事は有能でプロ意識に徹している。しかし、チャーリーは新任の部長からは用済みの厄介者として疎まれ、若い同僚からは横柄で間抜けな、時代遅れの変わり者として蔑まれている。そして、彼はベルリンの検問所を車で通過するという危険な任務を与えられ、危うく命を落としそうになったのである。
一方、ヨーロッパスパイ網の責任者であったソ連KGBの大物ベレンコフ将軍は、マフィンの働きで逮捕され刑務所に入っていた。そのベレンコフ将軍の親友であるKGBの大物カレーニン将軍が亡命を望んでいるらしいとの情報が情報部に入ってくる。これにどんな罠が仕掛けられているのか‥‥
最後にはぎゃっと飛び上がるどんでん返しが待っている。所々に張り巡らされていた伏線が心憎い。
[1回]