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1811年にロンドンで起きた、ラトクリフ街道の二家族連続殺人事件について、関係資料をもとに事件を再現し捜査過程を分析して真相を推理したノンフィクションはこれ。
ある冬の夜に服地商の貧しい一家(若い夫、妻、乳児、徒弟の少年)が大槌で殴られナイフで切られて皆殺しにされていた。当時の「警察署」は警官が少なく事件の捜査に未熟で、犯人の逮捕は困難であった。この事件から12日目の夜に同じ界隈で、居酒屋の一家(亭主、その妻、女中)が鉄の棒で砕かれナイフで切られて殺されたのである。幸い、その孫娘と下宿人が難を逃れた。
この連続した殺人事件は全国的な恐慌をもたらした。犯人逮捕の懸賞金が提供され、多くの情報や証言が集められ、不審な者が逮捕された。やがて、ウィリアムズという若い水夫が厳しい尋問を受けた‥‥
国民に大きなパニックを起こした恐怖と謎の事件という意味では、この事件は、1887年の「切り裂きジャック」事件と似ている。しかし、後者が近代的な警察組織の取り組みであったのに対して、前者は前近代的な組織で、事件の真相解明よりも民衆のパニックを鎮めるための事件解決を優先したもののように思われる。
[2回]
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英国の犯罪史上有名なロード・ヒル・ハウス殺人事件とその捜査に当たったウィッチャー警部の挫折を、探偵小説の手法で事実を再構成して描いたノンフィクションはこれ。
1860年6月、カントリーハウス(地方の屋敷)で3歳になる幼児が、子供部屋から連れ出され、首を切られて殺され、屋外便所へ投げ込まれるという事件が起きた。最初に、子守のゴフ(22歳)が逮捕されるが、証拠がないので釈放される。地方の警察では捜査に進展がないので、首都圏警察から優秀な警官であるウィッチャー警部(45歳)が派遣される。次に、その警部の働きにより、異母姉のコンスタンス(16歳)が逮捕されるが、これも決定的な証拠がなくて保釈される。そして、事件は未解決のままになり、彼は失意の中退職する‥‥
最後に、作者は、多くの事実を納得させる見事な推理を披露するとともに、この事件に関係した主な人物のそれぞれの行く末を辿ってみせる。ウィッチャー警部の名誉回復や犯人の数奇な運命に人の世の喜びや悲しみが胸に迫ってくる。すべての人の上に時は流れ、諸行無常の余韻がじょうじょうである。
[1回]
東西冷戦を背景に英国諜報部と東ドイツ諜報部の対決を枠組にして、非情な諜報活動の計略と顛末をシリアスに描いた、リアリズム系スパイ小説はこれ。
英国諜報部は、ベルリンにおける諜報網を、東ドイツ諜報部の副長官ムントに壊滅させられた。そこで、英国諜報部は、ベルリンの責任者だったリーマスを使って、ムントの失脚を図るために罠を仕掛ける計略を立てる。諜報部を追われたリーマスは、金のために祖国を裏切って東側に情報を売り込むように見せかける。実はムントが英国に寝返ってスパイになっているという間接的な情報を東ドイツに与えようというのである。しかし、その背後にはさらに大きな計略が張り巡らされていた‥‥
東西冷戦を象徴する、1961年に築かれたベルリンの壁が、悲劇を強調するように効果的に使われている。最初の場面では、東ドイツの高官で、実は英国のスパイだった男が、リーマスが待っている西側へ脱出しようとして、ベルリンの検問所を通過する時に射殺される。そして、最後の場面では、主人公のリーマスと愛人リズが、ベルリンの壁を乗り越えて西側へ逃げ帰ろうとした時、二人とも射殺されてしまう。
東側でも西側でも、諜報活動における個人の命は消耗品のように軽く使い捨てられるものなのか。冷戦におけるスパイの悲劇は現代社会の陥穽である。
[1回]
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