忍者ブログ

ポイントがつくから断然お得!家電買うなら楽天市場

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

紳士同盟  小林信彦作

 「ミステリベスト100(日本篇)」(1997年発行)で、本格的コン・ゲーム(信用詐欺)小説の傑作と評されているので、本書を読んでみた。
 テレビ局を退職し離婚の慰謝料が多額になった寺尾、多額の借金を抱えている芸能プロダクションの旗本、サラ金に多額の借金があるタレントの清水、年老いた父親を入院させるために多額の費用の必要な女事務員中本、さらにその父親が実は昔は大物詐欺師だったという。この五人が集まった時、スリルと笑いにあふれたコン・ゲームが繰り広げられる。最後には、ちょっとしたどんでん返しの驚きが待っている‥‥
 このちょい悪な詐欺物語は、テレビ業界の内幕や当時の風俗を風刺しながら、軽く読めて楽しめる、後味のよい読み物になっている。

拍手[1回]

PR

わたしを離さないで  カズオ・イシグロ作

 日本名のイギリス人作家の作品で、「東西ミステリーベスト100」(2013年)の海外編で第74位だったので、本書を読んでみた。
 この小説はミステリとは言えないが、物語全体に謎めいた雰囲気が漂っている。主人公の語りの進展にともなって、秘められた謎が次第に明らかになってくる。そして、主人公や友人、恋人が逃れられない運命を受け入れていく姿を、悲しみ深く描いている。
 作品名の「わたしを離さないで」は、主人公が施設で過ごした少女時代に持っていたカセットテープの歌の題名である。この恋の歌を、主人公は別な意味に解釈する。さらに、主人公が曲に合わせて踊っている姿を見た施設の経営者「マダム」は、違った意味に解釈する。どんな意味かは読んでのお楽しみである。

拍手[2回]

犬の力  ドン・ウィンズロウ

 アメリカ、メキシコ、コロンビアなどを舞台に、麻薬をめぐる組織犯罪者と捜査官との、三十年にわたる攻防を描いた小説はこれ。
 アメリカの麻薬取締局の特別捜査官アート・ケラーは、メキシコのシナロア州警察の警察官バレーラと手を組んで、シナロア州の麻薬元締めドン・ペドロを追い詰める。しかし、バレーラの思惑は、ケラーを利用してドン・ペドロの組織を壊滅させ、自分の麻薬カルテルを組織することにあった。捜査官アートの側には、CIAやメキシコの連邦保安局員、麻薬捜査官などが顔を並べる。一方、バレーラの麻薬組織側は、甥のアダンとラウルの兄弟や殺し屋の部下などを配置する。そして、反麻薬派のイタリア系マフィアのチノーミ一家をからめ、さらに、隠れて麻薬の商売に手を染めているチノーミ一家の幹部ピッコーネ兄弟も入って、複雑な抗争が入り乱れる‥‥
 主要な人物が少しずつ殺され消えていき、最後まで生き残るのは誰かといサバイバルゲームの様相を呈してくる。さらに、麻薬戦争の背後には、左派の反政府革命組織に対する右派の反革命暗殺集団による作戦が浮かび上がってきて、国際謀略の陰謀が見え隠れしている。一体この小説はどのような結末を迎えるのかという興味に引きずられて最後まで目が話せない小説になっている。

拍手[2回]

お探し物がありましたら、こちらからどうぞ