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人間の絆  モーム作 (その3)

  モームの小説やエッセイを読むと、この人はいろいろなものを見聞きしたり、いろいろなことを読み考えたりするのがとても好きだということが分かる。そして何よりも人間に対する興味関心が旺盛である。それと同じくらいに、物語を語り書いて人を楽しませることが大きな喜びとなっていることが分かる。天性のストーリーテーラーである。
 この小説は、主人公フィリップが小さい子供の時に母親と死別するところから始まる。(父親は以前に亡くなっている。)病床の母親は、何も知らない子供を抱きキスをして最後の別れをする。そしてこう言うのである。「あの子はこれからどうなるのかしら?」そうなのだ、両親を亡くし、兄弟もいない、しかも足に不自由がある。この主人公はいったいこれからどうなるのだろう。彼にどんな運命が待ち受けているののだろうか。
 最初の数ページで作者は読者の心をぐっとつかみ、読者が(天国の母親と一緒に)フィリップの運命を見守るように、物語の中に引き込んでいくのである。

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人間の絆  モーム作 (その2)

小説の中で、特に大きなテーマになっているのが二つある。   一つは美しく自己中心的な女ミルドレッドとの不幸な恋愛関係である。このミルドレッドとの「絆」は、恋愛を装った強迫観念のようなものであり、隷属的であり、束縛的である。この絆から逃れ抜け出すためには、何度も傷つき後悔し、自己嫌悪に陥り、長い時間をかけることが必要だった。
 もう一つは、人生とは何か、人生いかに生きるべきかという人生観をいかに築くかというテーマである。人生をどう考えたらよいかという問題は、フィリップの心をとらえ自由を束縛している。老詩人に暗示された「ペルシャ絨毯」の謎(すなわり人生の謎)をどのようにして何と解くのか。この小説に仕込まれた大きな仕掛けである。話のクライマックスは、主人公なりの人生に対する答えを見つける。その答えは本を読んでのお楽しみである。
 六十歳過ぎてからもう一度読み返してみると、さすがに若いころの感動はなくなったが、ストーリーのおもしろさを堪能し、モームの小説づくりのうまさに感心した。

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人間の絆  サマセット・モーム作 (その1)

 海外の成長小説といえばこれ。特に多感な高校時代に読めば、人生について教えられることも多いし、感動する場面も多くあるだろう。私もその一人である。
 この作品は、まず何といっても話が面白く、ストーリーも変化に富んでいて飽きさせない。主人公フィリップの考えや心の動きが生き生きと描かれ、いろいろな経験をしながら少しずつ成長していく姿が分かりやすく述べられている。
 次に、フィリップの成長に伴って次々とあらわれる人生の課題である。たとえば、自分の才能や劣等感、宗教、芸術、金銭、職業、恋愛、結婚、人生観など、およそ若者なら必ずと言っていいほどぶつかるであろうと思われる困難な問題であり、意義ある課題である。主人公は時には悩み苦しみ、時には楽しみ喜び、時には怒り泣きながら、課題に立ち向かっていく。だからといって、フィリップが理想的な解決を示し、立派な行動をとっているというわけではない。私たち普通の人と同じように短所や欠点を多く抱え、いろいろ失敗したり後悔したりしながら、ささやかでもよいから何とか幸せな人生を歩もうとする姿には共感できる。

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