海外の成長小説といえばこれ。特に多感な高校時代に読めば、人生について教えられることも多いし、感動する場面も多くあるだろう。私もその一人である。
この作品は、まず何といっても話が面白く、ストーリーも変化に富んでいて飽きさせない。主人公フィリップの考えや心の動きが生き生きと描かれ、いろいろな経験をしながら少しずつ成長していく姿が分かりやすく述べられている。
次に、フィリップの成長に伴って次々とあらわれる人生の課題である。たとえば、自分の才能や劣等感、宗教、芸術、金銭、職業、恋愛、結婚、人生観など、およそ若者なら必ずと言っていいほどぶつかるであろうと思われる困難な問題であり、意義ある課題である。主人公は時には悩み苦しみ、時には楽しみ喜び、時には怒り泣きながら、課題に立ち向かっていく。だからといって、フィリップが理想的な解決を示し、立派な行動をとっているというわけではない。私たち普通の人と同じように短所や欠点を多く抱え、いろいろ失敗したり後悔したりしながら、ささやかでもよいから何とか幸せな人生を歩もうとする姿には共感できる。
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