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男女二人の出会いと破滅を描き、社会派推理小説のジャンルを越えて新たに切り開いた小説の地平はこれ。
北海道に大きな台風がやってきた。函館から百二十キロ離れた岩幌の町で、町の三分の二が焼失するという大火災が発生した。その火元は質屋で、強盗殺人犯による放火と思われた。捜査の進展で分かったことは、三人組による犯行らしいのである。
一方、津軽海峡の海上で、青森函館間の連絡船が沈没するという大事故が発生した。多数の死体が引き上げられたが、その中に身元不明の死体が二体あった。この二体は強盗殺人犯の三人組のうちの二人と分かった。もう一人はどこに行ったのか。
その犯人と思われる「見知らぬ男」は、たまたま出会った売春婦に優しくしてもらった感謝の気持ちから衝動的に大金を与えて去っていった‥‥
この二人が十年の月日を経て再度出会った時、新たな殺人が引き起こされる。突きつけられた証拠から分かった、殺された女の真情が、犯人の魂を激しく揺さぶる。
警察の地道な捜査活動を通して徐々に浮かび上がってくるのは、貧困のどん底から這い上がり、過去の犯罪を隠し更生しようとして実業家に成り上がった男、社会の底辺で売春婦として生き、そこから抜け出そうとして果たせなかった女、二人の宿命的な出会いが作り出す、恐ろしくも悲しく哀れな物語である。
[4回]
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広範な調査と取材をもとに、SF的想像力で構想し、ストーリーの中に興味深い大小の謎を配置して、冒険小説風なスリルとサスペンスの手法で描いた新人類誕生物語はこれ。
南アフリカに寄せ集められた多国籍の四人の傭兵が、コンゴの奥深い森に住む、新種のウイルスに感染した四十人のピグミーたちを殲滅する作戦に従事する。その作戦を計画し推進しているのは、アメリカ大統領をトップにした政府の主要な関係者であり、その本当の狙いは、「見たことのない生物を真っ先に殺す」ことにあった。この未知の生物とはいったい何なのか。
一方、日本では、大学院生の古賀研人は創薬化学の研究室で学問に励んでいたが、ウイルス学専門の学者だった父の急逝の後、父からの謎めいたメールから、奇妙な遺書にたどり着く。その内容は、一か月という期間に新薬を研究・開発してほしいという内容だった。どのようにして研人は新薬を作ることができるのか。そして、彼にはアメリカの影のかかった捜査の手が伸びてきた‥‥
アメリカ、アフリカ、日本それぞれの地で進んでいく話が一つに結びついていくとき、物語のスピードはさらに加速し、空に飛び上がり、あっという結末が待っている。
この物語には続きがあり、さらに大きく広がっていく予感がする。
[3回]
社会的背景、現実味のある登場人物、社会性のある犯罪動機などを重視した、いわゆる社会派推理小説の記念碑的作品、松本清張の推理長篇第一作はこれ。
九州の博多の海岸で男女二人の死体が発見される。二人とも青酸カリを飲んでいて心中のようである。いろいろ調べていくうちに、男はある省の課長補佐で、汚職事件の重要参考人になっていたことが分かる。心中に見せかけた殺人事件なのか。福岡署の鳥飼刑事の事件に対する疑惑が深まる。
主要容疑者のアリバイを調べてみると、心中事件のあった日は、北海道の札幌まで列車に乗って旅行中であった。次の日の夜には札幌駅にいたことが証言で裏付けられた。警視庁の三原警部補によるアリバイ崩しの捜査が続く。
作者は物語の社会性・現実性を重視しつつ、本格ものの謎解き、トリックの解明のおもしろさを追及している。ここから、この小説がベストセラーになり、推理小説に新しい波をもたらした理由も分かる。社会性のある本格ものとして「眼の壁」や「砂の器」なども評価が高い。
松本清張の小説界に与えた影響は大きく、彼以後、社会性・現実性のある犯罪の物語は世に多く出回ったが、それらの作品は謎解きの部分が弱く、本格推理ファンを満足させるものは少なかったようである。
[3回]
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