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陰獣  江戸川乱歩作

 怪しげな異常心理、不可解な謎、そして論理的な解明、さらにどんでん返しが待っている乱歩の傑作中篇。
 探偵作家の寒川(私)は、たまたま知り合った実業家夫人の小山田静子から、相談を受ける。それは、探偵作家の大江春泥から脅迫されているというのである。その大江は、本名平田一郎といい、静子の昔の恋人だった。それが最近になって平田から「君を苦しめ、君を怖がらして」復讐するという手紙が来たのである。二回目の手紙には「お前を殺すに先だって、お前を愛している夫の命を」奪うという予告がされてあった。寒川は静子のために平田こと大江春泥を四方八方手を尽くして探し回るが、彼の行方は杳として知れなかった。そして、予告どおり事件は起きてしまう‥‥
 松村善雄の「乱歩おじさん」によると、怪奇幻想と論理的な謎解きの「二つの持ち味を見事に融合させた」作品であり、「乱歩のトリック小説の集大成ともいうべき傑作」である。

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僧正殺人事件  ヴァン・ダイン作(その2)

 アガサ・クリスティの新訳が出たので、「そして誰もいなくなった」と「ABC殺人事件」を再び読んでみて、女王のミステリを堪能したが、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」(1929年)と似ていることに気づき、この作品が後続の作品に与えた影響の大きさを実感した。
 まず、本書の特色のひとつは童謡連続殺人の不気味さである。これはクリスティの「そして誰もいなくなった」(1939年)の童謡連続殺人に大きな影響を与えた。日本では、俳句見立て連続殺人の横溝正史「獄門島」(1948年)やからくり人形連続殺人の泡坂妻夫「乱れからくり」(1977年)、黙示録連続殺人の笠井潔「サマー・アポカリプス」(1981年)が挑戦している。
 また、本書は物理学者、数学者、科学者等の邸が集まった一区画で起こった事件であるのに対して、クリスティのものは孤島の邸で起こった事件である。この孤島における連続殺人の趣向は、綾辻行人の「十角館の殺人」(1987年)や笠井潔の「オイディプス症候群」(2002年)に引き継がれている。
 特色の二つめは、おとり犯人へ導く手がかりの数々を巧妙に仕掛けている点である。クリスティの「ABC殺人事件」ではさらに創意工夫がほどこされ新しい趣向になっている。
 特色の三つめは、きちがい天才型科学者という犯人像と犯罪動機の創造である。これに類するミステリとしては、夢野久作の「ドグラ・マグラ」(1935年)の中には、法医学の若林教授と精神科医の正木教授の学問上の対決が描かれている。どちらの博士も自分の学術研究のためには犯罪をも厭わない常軌を逸した行動をとっている。トマス・ハリスは「羊たちの沈黙」(1988年)の中で、精神科医ハンニバル・レクターを人食い連続殺人犯の探偵役として創り出している。 

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異邦の騎士  島田荘司作

 奇想天外のトリックとストーリーを楽しみたい読者向けの小説はこれ。
 若い男は街の公園のベンチで目を覚ますが、以前の記憶を失っていることに気づく。街をさまよっているうちに、たまたま助けた若い女良子と一緒に暮らすようになる。二人で働きながらアパートでつつましくも幸せな生活を送っていたある日、、部屋のサイドボードにしまわれていた自分の免許証を見つける。一体、良子はなぜ自分の免許証を持っているのか。散々迷った末に、免許証に書かれている住所の家を訪ねてみると‥‥クライマックスには探偵役の御手洗が「異邦の騎士」として颯爽と登場する。お楽しみに!
 作者の書いたミステリで人気のある本作品を始め、「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」「奇想、天を動かす」など、奇想天外でびっくり仰天なストーリー、壮大な仕掛けと推理の力技には圧倒される。

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