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僧正殺人事件  ヴァン・ダイン作(その2)

 アガサ・クリスティの新訳が出たので、「そして誰もいなくなった」と「ABC殺人事件」を再び読んでみて、女王のミステリを堪能したが、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」(1929年)と似ていることに気づき、この作品が後続の作品に与えた影響の大きさを実感した。
 まず、本書の特色のひとつは童謡連続殺人の不気味さである。これはクリスティの「そして誰もいなくなった」(1939年)の童謡連続殺人に大きな影響を与えた。日本では、俳句見立て連続殺人の横溝正史「獄門島」(1948年)やからくり人形連続殺人の泡坂妻夫「乱れからくり」(1977年)、黙示録連続殺人の笠井潔「サマー・アポカリプス」(1981年)が挑戦している。
 また、本書は物理学者、数学者、科学者等の邸が集まった一区画で起こった事件であるのに対して、クリスティのものは孤島の邸で起こった事件である。この孤島における連続殺人の趣向は、綾辻行人の「十角館の殺人」(1987年)や笠井潔の「オイディプス症候群」(2002年)に引き継がれている。
 特色の二つめは、おとり犯人へ導く手がかりの数々を巧妙に仕掛けている点である。クリスティの「ABC殺人事件」ではさらに創意工夫がほどこされ新しい趣向になっている。
 特色の三つめは、きちがい天才型科学者という犯人像と犯罪動機の創造である。これに類するミステリとしては、夢野久作の「ドグラ・マグラ」(1935年)の中には、法医学の若林教授と精神科医の正木教授の学問上の対決が描かれている。どちらの博士も自分の学術研究のためには犯罪をも厭わない常軌を逸した行動をとっている。トマス・ハリスは「羊たちの沈黙」(1988年)の中で、精神科医ハンニバル・レクターを人食い連続殺人犯の探偵役として創り出している。 

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