怪しげな異常心理、不可解な謎、そして論理的な解明、さらにどんでん返しが待っている乱歩の傑作中篇。
探偵作家の寒川(私)は、たまたま知り合った実業家夫人の小山田静子から、相談を受ける。それは、探偵作家の大江春泥から脅迫されているというのである。その大江は、本名平田一郎といい、静子の昔の恋人だった。それが最近になって平田から「君を苦しめ、君を怖がらして」復讐するという手紙が来たのである。二回目の手紙には「お前を殺すに先だって、お前を愛している夫の命を」奪うという予告がされてあった。寒川は静子のために平田こと大江春泥を四方八方手を尽くして探し回るが、彼の行方は杳として知れなかった。そして、予告どおり事件は起きてしまう‥‥
松村善雄の「乱歩おじさん」によると、怪奇幻想と論理的な謎解きの「二つの持ち味を見事に融合させた」作品であり、「乱歩のトリック小説の集大成ともいうべき傑作」である。
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