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僧正殺人事件  ヴァン・ダイン作

きざで嫌味な鼻持ちならない探偵といったら、この小説に出てくる主人公ファイロ・ヴァンス。天才的超人、大金持ちで貴族趣味、博識でペダンチック、フェンシングの達人でゴルフはプロ級の腕前、ポーカーの名人などなど。どちらかと言えば、ユーモア・ミステリかパロディ作品の主人公にふさわしい人物である。
 探偵の手法は心理分析である。芸術家の作品にその個性が現れると同じように、計画的な殺人には犯人の個性が現れる。その犯罪に印されている心理的な痕跡を分析すれば、犯人像を描くことができ、ついては犯人を指し示すことができるともっともらしく説く。
  しかし、もったいぶった大げさなこの探偵を気にしなければ、本作品は知的なパズル・ミステリとして大いに楽しめる。ヴァン・ダインはスタイリストらしい形式主義、完璧主義で、ストリーの進め方から会話や行動の細部にいたるまで注意を行き届かせている。証言や証拠の提示、伏線のはり方、誤った方向への誘導、トリックの使い方、犯人像とその動機の説明など、よく計算され精巧に構築している。
 この作家は長篇ミステリを12冊書いたが、前期の6冊はよくできていて、後期の6冊は後になるほど水準より劣る作品になった。(仁賀克雄)そして、多くのミステリイ評論家が話すとおり、特に優れているのが「グリー家殺人事件」と本書である。この評価は、不思議と大方一致している。というのは、この両作品に共通しているのが、連続して起こるたくさんの殺人とその不気味な犯人像である。これが読者に強烈な印象を与え、忘れがたいものとなっているのである。

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