ミステリの大技小技を繰り出して無差別連続殺人のテーマを謎解き小説に創り上げたクリスティーの傑作はこれ。
名探偵ポアロのもとに、ABCと名乗る者から殺人予告の手紙がくる。その予告どおり、Aで始まる地名の町で、Aで始まる名前の老婆が殺される。それから、Bの地でBの娘が殺される。さらに、Cの地でCの紳士が殺される。いずれの現場にも、ABC鉄道案内が残されていた‥‥
表のプロット「無差別連続殺人」を必然足らしめるために、裏のプロット「三人称の挿話」をからめてすっきりした謎解き小説に仕上げている。今度、新訳(堀内静子訳、早川書房)で再読してクリスティーのすばらしさを見直した。さらに法月綸太郎の解説を読んで目からうろこが落ちた。
[1回]
PR
お探し物がありましたら、こちらからどうぞ