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37の短篇  石川喬司編

 主として1940年代~60年代に海外で発行された短篇ミステリを選んで編集した傑作短篇集はこれ。
 37の短篇のうち、15作品は論理の謎解きを主としているが、残りの22は多様性に富んだ楽しい読み物が選ばれている。たとえば、人情話、刑事もの、歴史もの、SFもの、密室、アリバイ、消失もの、サスペンスなど。ミステリ短篇の可能性を大いに感じさせる編集である。
 印象に残る作品を二、三挙げてみる。謎解きとして、「ジェミニイ・クリケット事件」クリスチアナ・ブランド、「九マイルは遠すぎる」ハリー・ケメルマン。パロディとして、「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウイリアム・ブルテン、「アスコット・タイ事件」ロバート・L・フィッシュ。ブラック・ユーモアとして、「この手で人を殺してから」アーサー・ウイリアムズ、「おとなしい凶器」ロアルド・ダール。有名なものからあまり知られていない作品まで大いに堪能できる。
 本書は世界ミステリ全集の一巻として1973年に早川書房から出版されているが、前に紹介した「ニュー・ミステリ」とあわせて読むと、ミステリ的な想像力(?)が大いに刺激され、短篇ミステリの可能性がさらに広がっていくように思われる。

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