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黒死館殺人事件  小栗虫太郎作(その2)

 この小説の関係者の話を聞いてみる。
 ○江戸川乱歩(探偵小説家)
   そこには探偵小説的なるあらゆる興味、探偵読者をして随喜渇仰せしめる所のあらゆる魅力、怪奇犯罪史、怪奇宗教史、怪奇心理学史、怪奇医学史、怪奇建築史々々の目もあやなる緯糸と、逆説、暗喩、象徴等々の抽象論理の五色の経糸とによって織り成された一大曼荼羅が、絢爛として光り輝いていたのである。
 ○渋澤龍彦(文学者)
   私の考えるのに、虫太郎一代の傑作たる「黒死館殺人事件」は、キリスト教異端やオカルティズム文学の伝統の全く存在しない日本に、本格的なオカルティズム小説を打ち樹てるという、まさに空中楼閣の建設にもひとしい超人的な力業の結晶であった。                                                        ○原田邦夫(文学研究者)
   探偵小説はおおかた、犯人の残した犯跡を探偵が集め、ひとつの話として再構成することで真相に到達するものとみなされている。けれども法水は、犯跡をすべてペダントリーのなかに分散させ、あるいは逆にペダントリーから摘出して真相に迫ろうとする。そのことからいえば、「黒死館殺人事件」は、探偵小説の、ひいては再現を旨とする物語そのものの壮大なパロディにほかならないのである。
 というわけで、この作品は、ミステリの初心者はもちろんのこと、ある程度読み込んだ中級者でもまだ遠ざけておいたほうがよい。主要な内外のミステリは大体読んだという上級者のうち、退屈なので毛色の変わったものを読んでみたい人向きの本である。ただし、本格推理ファンにはたぶん永久に向かないだろう。作者にはそんな気はないのだろうが、作者に弄ばれからかわれている気がしないでもないからである。

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