中世の北イタリア、山中にある修道院で起きた連続殺人事件を、修道士ウイリアムと見習い修道士アドソの師弟コンビが謎の解明に挑む推理小説はこれ。
若い修道僧が文書館の窓から落ちて死ぬという事件が起きる。重要な会談の特使として派遣されてその修道院にやってきたウイリアムに、修道院長は捜査を依頼する。次に、古典翻訳の僧が豚の血をためていたかめに逆さに突っ込まれているのが見つかる。さらに、文書館長補佐が浴槽で溺死しているのが発見される。どうやらヨハネ黙示録にのっとって殺人が続いているらしい。またもや薬草研究の学僧が惨殺されるに及んで‥‥
この事件の背後には幾つかの原因と謎が絡まりあっているようなのだ。探偵役のウイリアムは助手のアドソに、時には考えるヒントを与え時には丁寧に説明して「殺人犯が残していった漠とした記号から出発して、唯一の固体へ、すなわち殺人犯そのものへと到達してみたいのだ」と語る。黙示録による連続殺人の謎、秘密の部屋に入るための暗号の謎、黒ずんだ指とギリシャ語の謎など、ミステリによくある型どおりの仕掛けがある。子供だましの謎が効果的に使われていて、種明かしが楽しい。
[2回]
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