二十年ほど前の話になるが、世界的なベストセラーになり、映画もヒットしたサイコ・スリーラーはこれ。
主人公のレクター博士は優秀な精神科医だったが、多くの患者を殺してその肉を食べるという犯罪で、精神異常犯罪者用の病院に収監されている。前作の「レッド・ドラゴン」では、主人公はFBIの元調査官グレアムであるが、レクター博士は脇役で登場する。レッド・ドラゴンにとりつかれた一家殺害犯人を捜査するために、グレアムはレクター博士からアドバイスをもらう。
本作の「羊たちの沈黙」では、犯罪者用病院に収監されているレクター博士は、FBIの女性訓練生クラリスに助言を与え、バッファロゥ・ビルというあだ名のある連続殺人犯の捜査に協力するとともに、天才犯罪者としての恐ろしい姿を現し、不可能と思われた監獄からの脱出劇を演じて見せる。ということは、主人公のレクター博士は犯罪者であるとともに、いわゆる安楽椅子探偵でもある。
次回の「ハンニバル」では、復讐を図ろうとする大富豪のメイスンが、悠々自適で優雅な生活を送っているレクター博士に魔の手を伸ばし、さまざまな手段を使って絶体絶命の窮地に追い込む。
いわゆるレクター博士三部作は、悪の魅力をたっぷり描き、異常と不気味から始まり恐怖と戦慄にいたる物語を創り出している。
[3回]
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