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渋江抽斎  森鷗外(その4)

説明的な文章では、まず事物を諸要素に分析して、次にその諸要素を順序立てて簡潔に叙述する。たとえば作者が抽斎を知るに至る話の書き出し。「わたくしの抽斎を知ったのは奇縁である。わたくしは医者になって大学を出た。そして官吏になった。しかるに少ないときから文を作ることを好んでいたので、いつのまにやら文士の列に加えられることになった。その文章の題材を、種々の周囲の状況のために、過去に求めるようになってから、わたくしは徳川時代の事蹟を捜った。そこに武鑑を検する必要が生じた。」続いて武鑑の話に移っていく。
 逸話のアクション場面の描写では、心身の動きを的確に捉え、一気に書き上げる。たとえば本丸の奥女中で奉公していた十二歳の五百が、鬼になっていたずらする若君をこらしめる話。「暗い廊下を進んで行くと、はたしてちょろちょろと走り出たものがある。おやと思うまもなく、五百は片頬に灰をかぶった。五百には咄嗟の間に、その物の姿がよくは見えなかったが、どうも少年の悪作劇(いたずら)らしく感ぜられたので、五百は飛びついてつかまえた。「許せ許せ」と鬼は叫んで身をもがいた。五百は少しも手をゆるめなかった。そのうちにほかの女子たちが馳せつけた。」  
 作者の文体に魅せられた読者は、この玄妙な味と香りに酔いしれる。

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