ミステリー・ファンが高じてミステリー作家になった4人が、楽しく時に激しく語り合った海外の本格ミステリーのガイド・ブックはこれ。
ミステリーの歴史に沿ってポーからコリン・デクスターまでの作家が取り上げられている。特に、ドイル、クリスティ、クイーン、カーなどでは大いに盛り上がり、熱の入った意見のやり取りがほほえましい。話題になった作品をもう一度読み返したくなる。
作品の分析については、作家でなければ気づかないような鋭い指摘が随所に見られる。たとえば、二階堂はクリスティの作品を論じて次のように語る。この作家は結末において犯人の意外性で読者を驚かせる。そのために伏線をぬるくしておき、きっちりとした手がかりを与えないで、最後に「ほら、こうでしょう」と驚かすという。この作家の小説作法を明かすのである。
巻末の「路標的 海外名作推理小説一覧」が本格ミステリーの読書案内として役に立つ。なお、4人の作家は、芦辺拓、有栖川有栖、小森健太朗、二階堂黎人である。
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