一人の著者が書いた、初心者から愛読者まで役に立つ、近年における最良の海外ミステリのガイド本はこれ。
著者はまず、ミステリのおもしろさを知り、ミステリを愛している。次に、海外のミステリを広く読み、適切に評価している。それから、ミステリの各派の要点を押さえ、それぞれの作品を位置づけている。さらに、ミステリ映画についても広く目を配り、話題を提供している。
圧巻は、「私の選んだ海外ミステリ・ベスト100」(この広範囲に亘る名作の数々!)と本格の三大巨匠クリスティ、クイーン、カーの「長篇ミステリ採点リスト」である。採点は、A(傑作)B(佳作)C(普通作)の三段階になっている。これがおもしろい本を選ぶ時に役に立つ。もちろんAから読む。同じ作者の1,2冊読んであまりおもしろくなかった時は、読者と作者の相性が悪いのだから、別の作者のものを読んだほうがよい。
著者は、35年ほど前に「海外ミステリ入門」(朝日ソノラマ)という入門書兼ガイドブックを出しているが、これこそが当時における最良のガイド本であった。私もこのガイド本に導かれてミステリ・ファンになった。
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