ポーから始まった探偵小説は、ドイルからクリスティ、ダインを経て、クイーン、カーまで行くと、パズル・ミステリが究極の形まで進んだ。しかし、謎解きのおもしろさと物語のおもしろさを両立させるのは至難の技である。本格ミステリの場合、謎解きが第一になり、物語は二の次になってしまいがちだ。しかも、謎解きも大方出尽くしてしまうと、当然ながら行き詰まってしまう。
作者がそれを解決するには、探偵物語のおもしろさを主にし、物語の中に謎解きを生かすようにすることである。たとえば、探偵捜査の過程を物語として描き、その物語がすなわち犯罪の真相を暴く謎解きというような作品である。主役の探偵が私立探偵の場合もあれば、警察官の場合もある。また、警察署の複数の人間あるいは多くの人間が主役になる場合もある。
本書では、地方の警察署においてフォード署長とキャメロン巡査部長たちが力を合わせて、パーカー・カレッジの女子学生ミッチェルが失踪するという事件の解決に奮闘する。捜査の過程を詳しく書き、細部の描写を多用し、物語にリアリテイを与えている。
また、彼女は誰にも見られないでどのようにしていなくなったのかという謎から、彼女はどうして殺されたのかという謎へ、そして、彼女を殺したのは誰かという謎へと推移させていく。捜査の物語の中に謎解きのおもしろさを自然にはめ込み生かしている。
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