本格推理の構造に、からくり人形や迷路の衒学的意匠をまとった、遊び心いっぱいの小説はこれ。
玩具会社「ひまわり工芸」は、社長が馬割鉄馬、営業部長がその息子の宗児、制作部長が宗児のいとこの朋浩、という組織で経営されている。朋浩の妻真棹と宗児は不倫関係にあるらしい。その馬割一族に奇怪な死や異常な死が次々と襲いかかる。まず、乗っていたタクシーに隕石が落ちてきて、その事故のため朋浩が亡くなる。次に、朋浩の2歳になる息子が (誤って?)薬を飲んで亡くなる。さらに、宗児の妹香尾里が、見通しのよい(つまり密室状態の)東屋で至近距離から撃たれて殺される‥‥
馬割家の歴史に秘められた謎、「ねじ屋敷」にある五角形の迷路に秘められた謎、連続して起こる殺人の謎に、容疑者に恋するワトソン役の主人公は、真相に迫ることができるのか。一人残った容疑者まで死んだら、謎の解明は一体どうなるのか。
軽快な話術とからくり仕掛けを弄した作者の職人芸が読者をうならせる。
[3回]
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