江戸川乱歩の編集による、海外ミステリーの傑作短編を年代順に並べたアンソロジーはこれ。
印象に残った作品を二、三紹介する。
謎の構成と論理的な解決に重きをおくと、フットレ「13号独房の問題」が痛快である。。脱出不可能と思われる13号独房からいかにして脱出するのかが興味のある問題として提出される。もしかしたらできるかもしれないと思わせる論理と手段は読者をうならせる。
奇妙な味では、バーク「オッターモール氏の手」が断然おもしろい。オッターモール氏とは何者なのか、なぜ「手」なのか。最後に、あっと驚き、恐怖にこわばる顔が目に浮かぶ。
文学的な味わいでは、ヘミングウェイ「殺人者」がいい。軽妙な語り口と殺し屋の会話が不気味である。殺しが延期されてサスペンスがさらに増し、うそ寒い恐怖が立ち込める。
コリンズ「人を呪わば」1860年からクック「悪夢」1950年までの44編、言わばミステリ・ファンの基本作品。毎日1作ずつ読むと44夜楽しめる。創元推理文庫5巻にまとめられている。
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