「多彩多様な作品群」から選出された、海外スパイ短編小説の秀作アンソロジーはこれ。
印象に残った作品を幾つか紹介する。
謎解きのおもしろさでは、ウォーレス「コード・ナンバー2」である。スパイはどのようにして特別な金庫から極秘の暗号文書を盗んだのか。また、その盗んだ情報をどこに隠したのか。最後の種明かしが小気味よい。
いかにも古き時代のスパイ小説といった趣の作品は、オッペンハイム「セルビアの女」である。外務大臣の重要書類が盗まれるが、それを一夜のうちに取り戻してみせるという、快男児ラフの活躍をスピーディに語りきる。
ウォルシュ「敵のスパイ」は、スリルとサスペンスに満ちた逃亡の話である。最後のどんでん返しまで息をつかせない。
異色な作品としては、中国を舞台にした「敵は家のなかに」バック、アメリカの南北戦争を背景にした「ある奇妙な体験」トウェインなども読める。
この「傑作選」は、スパイ小説全盛時代の1978~79年に講談社文庫として3巻出版された。
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