1950年代の東西冷戦を背景に英国の海外秘密情報部とソ連の特務機関スメルシュとの対決を枠組として、情報部員007号ことジェームズ・ボンドの冒険と活躍を描くスパイ・スリラーはこれ。ヒローあり、悪人や美女あり、陰謀や罠があり、絶体絶命の危機がある、「西洋版おとなの紙芝居」(都筑道夫)である。
スメルシュは、女好きのボンドに罠をかけて復讐を図ろうと計略を立てる。ソ連情報センターの暗号係の女が、ボンドの写真と書類を見てひとめぼれした、暗号機を持ち出して西側に亡命するので、トルコからイギリスまで護送してほしい、というのである。スメルシュは、護送途中のオリエント急行の中でボンドの暗殺を図るという絵を描く。スメルシュの計略どおりボンドに、首席死刑執行官グラントの魔の手が忍び寄っていく‥‥
原作が映画化され世界的にヒットしたため、小説も評判をよんだ。作者のフレミングは、ボンド小説について「派手な撃ち合いに美女とのお楽しみ、という作者の熱い願望を形にしたものなのである」「熱い血を持った異性好きの人々に、汽車や飛行機やベッドの中で読んでもらうように書かれたものである。」と語っている。
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