名誉と勇気を重んじ、時代遅れの騎士道精神に満ちた私立探偵スペンサーを主人公にした長寿シリーズ(全39作)の第6作はこれ。
ボストンの私立探偵スペンサーは、急進的な女性解放論者レイチェル・ウォレスの護衛を頼まれるが、彼女とは意見が合わず解雇される。しかし、レイチェルが過激派に誘拐されると、スペンサーは囚われの彼女を捜して大雪のボストンを走り回る‥‥
単純なストーリーに力強い筋運び、泣かせどころを心得たクライマックス、フェミニズムをめぐる論議、恋人スーザンとのやり取り、料理に対する一家言など、ハードボイルドを超えて新しい小説世界を創り出している。
プロ作家としてのサービス精神旺盛で、一作ごとにストーリーに新たな変化をつけ、工夫を凝らしている。また、脇役を増やしたり登場人物を再登場させたりして読者の興味をつなぎ関心を広げている。
人気の高い第7作の「初秋」と評判のよくない第12作の「キャッツキルの鷲」とでは、同じ主人公とは思えない話になっているが、どちらもそれなりにおもしろかった。
[1回]
PR
お探し物がありましたら、こちらからどうぞ