エラリー・クイーンの原本から各務三郎が編集した、海外ミステリーの歴史をたどる傑作短編のアンソロジーはこれ。
「クイーンの定員」の原本には、補遺部分も含めると、125の個人短編集が取り上げられている。ポー「物語」1845年からケメルマン「九マイルは遠すぎる」1967年まで。その中から54の短編が選ばれて、三巻本として光文社から出版された。
どの作品もおもしろく読める。始めから通読すると、探偵や犯罪、推理、動機など、社会における事件の移り変わりを感じさせる。あるいは、百年くらいでは変わらない、犯罪に関わる人間性が読み取れるかもしれない。
特におもしろかった作品は、ポー「盗まれた手紙」、ドイル「赤毛連盟」、チェスタートン「折れた剣の看板」である。さすがにというべきか。何度読んでもおもしろい。特に印象に残った作品は、ストリブリング「ベナレスへの道」、ディクスン「銀のカーテン」、ハメット「判事の論理」である。それぞれ、想定外の動機と結末、想定外のトリック、想定外の論理で楽しめる。また、どの作品も語り口の妙が堪能できる。
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