(※「モルグ街の殺人」の犯人を明かすので未読の方は読まないでください。)
ポーが「モルグ街の殺人」を「グレアムズ・マガジン」(1841年4月号)に発表したのが世界初の推理小説の誕生となった。推理小説というジャンルの創造であり、後世に世界的にヒットすることになる「新商品の発明」であった。
この作品は、19世紀の前半パリのモルグ街において、殺人事件が起き、探偵が推理し、意外な犯人が明かされる物語になっている。
本書において筆者は、この物語を分析し、アレゴリーとして次のように対応させてみせる。(一部追加修正)
(ポーの生きている世界) (作品の世界)
時代場所 19世紀前半のアメリカ南部 19世紀前半のパリ
背 景 黒人奴隷制による社会経済 多人種が行き交う街
探 偵 アメリカ南部の知的貴族 フランス人デュパン(知的遊民)
被害者 高潔な南部白人女性 裕福なレスパネー母娘
犯 人 黒人奴隷 オランウータン
すなわち、作品に描かれたモルグ街の殺人は、黒人奴隷に対する恐怖心から生まれた幻影であるといえるかもしれない。
[3回]
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