狂おしく切ない片思いを描いたミステリ漫画はこれ。
つぐみのやってくる大きな森に囲まれた高校を舞台に、早春の三日間にわたる「男と女の愛憎劇」である。
主人公の森島みのるは高校一年生。両親を亡くし、「足長おじさん」的スポンサーが保護者となっている。担任の鴎外先生が彼に目をかけ、いろいろ助言を与えている。
最初のの4ページで、四つの片思いが明かされる。まず、みのるが恋しているのは、学園で人気のある美しい千家八重(ビナス)である。次に、そのビナスは、女生徒のあこがれの的である鴎外先生に思いを寄せている。また、一週間前に湖で自殺したとされる女生徒もその先生に恋心を抱いていたらしい。さらに、みのるのクラスメートの天地のり子(アノン)は彼を好きなようである。
それから、警察では、女生徒の死に不審を抱いて、恋のライバルであるビナスに殺人の疑いをもっていて、いろいろ聞き込みをしている。
鴎外先生からは「ビナスに近よるな」と言われながらも、その夜、みのるは女子寮に入り込み、ビナスにラブレターを手渡す‥‥
女生徒は殺されたのか。もし殺されたのなら犯人は誰なのか。それにしてもなぜ殺したのか。
物語は少しずつスピードを速め、犯人との対決、破局へと一気に突き進んでいく。
最後に、作者は死んだ女生徒の思いを犯人の思いと重ね合わせて、はかなく消えた恋をロマンチックな余韻の中にしずめる。
[1回]
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